尿路結石症とは尿中に結石が生成されることにより引き起こされる一連の病態を示します。 結石の存在する場所によって、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石など呼称が変わります。尿路結石症の場合、どのような種類の結石が生成されているのかと、どの場所に結石が存在するのかによって、発症する症状、治療法、予後などが大きく変わってきます。
腎結石 腎臓にできた結石ができた場合には気づかないでそのまま生活を続けられるケースが少なくありません。結石が大きくなってきた場合に腎障害が進行し、腎臓病の症状として不具合に気づくケースはありますが、小さい腎結石単体で症状を示す機会はあまり多くはないでしょう。原因不明の血尿が腎臓結石由来という可能性もありますが、必発する症状ではありません。   尿管結石 尿管とは腎臓と膀胱を繋ぐ細い管を指します。腎臓でできた結石が尿管に流れ落ち、そのまま詰まってしまうことで腎臓から膀胱への尿排泄がうまく行われず、腎臓と結石が詰まっている尿管内に生成された尿が蓄積していくことで、腎機能を障害し、腎構造を崩壊(水腎症)、腎機能の消失(腎萎縮)につながります。   膀胱結石 膀胱内で結石が生成されるか、腎臓で形成された結石が膀胱内に流されて膀胱内に留まることで膀胱粘膜の損傷、尿路感染を誘発し、膀胱炎というかたちで発症します。   尿道結石 尿道とは膀胱から出て、尿が体外に排泄されるまでの経路を指します。雄は陰茎があるために、尿道径が雌よりも狭い傾向が強いです。よって尿道結石は雌より雄の方が発生する割合が高く、発生した場合には尿が体外に排泄できなくなるために腎障害が急速に進行し、その結果、生命の危機にさらされる可能性があります。
結石の診断と治療 結石症の診断は主にレントゲン検査、超音波検査によって結石の存在部位を特定し、尿検査によって結石の種類を特定します。一般的に尿結石の種類ではストラバイト結石(リン酸アンモニウムマグネシウム結石)、シュウ酸カルシウム結石が頻繁に確認されますが、そのほかにも尿酸アンモニウム結石、シスチンなど頻度は少ないですが複数種存在します。   尿石症の基本治療は食事療法によるものがメインとなります。一部の結石を除き、体質により尿結石が生成されていくため、食事療法により結石が形成されにくい体質を目指すことが必須となります。 ただ、尿路感染が先行して生じた場合には尿pHが細菌感染により上昇することでストラバイト結晶が生まれやすい環境が発生します。この場合においてはまず、尿路感染を治療することにより、尿の性状を改善できればストラバイト結晶が消失する可能性もあります。 よって、ストラバイト結晶と尿路感染が同時に確認された場合には、根本の原因が体質由来か感染由来かを考慮した上で治療を行います。   ごく小さな結石や石よりも小さい結晶のみの発生の場合には食事療法で対応可能なケースも多いですが、すでに形成されている大きな結石に対しては基本的に外科手術による摘出が治療法となります。 外科療法を検討する場合、結石の存在する部位によって、その緊急度、処置内容が大きく異なります。尿管結石や尿道結石の場合には尿の排泄が阻害されてしまうことで腎障害が時間経過とともに急速に進行していきます。よって早期に尿路閉塞の解除を行う必要があります。 尿管閉塞の場合には、人工的な排尿経路を一時的もしくは永続的に設置し、腎障害が落ちついた段階で、尿管結石の摘出を行う場合もあります。 尿道閉塞の場合にはカテーテルなどの挿入を行い、尿道内の結石を膀胱に押し戻すことで一時的に尿道閉塞を解除し、後日膀胱切開術で結石の除去を行うケースが多いです。   このように結石症は個体ごとに病態が異なるため、症状が出た場合、または発症前に結石、結晶の存在を確認できた場合で動きが大きく異なります。定期的な検査や、泌尿器症状が確認された場合には早期の対応を心がける必要がある病態となっております。    膀胱炎は何らかの原因により膀胱に炎症が生じ、膀胱壁の肥厚が生じることで血尿や頻尿などの症状を呈する病態です。 原因として多いものは下記の項目になります。 犬においては細菌感染と結石症の存在が圧倒的に多く、ネコではこの二つに加え、ストレス由来の膀胱炎(特発性膀胱炎)が若齢の猫においても頻繁に発生しています。 膀胱炎の治療としては細菌感染の場合には抗菌薬の投与を行い、尿石症の場合には食事療法と外科療法を結石の大きさを考慮した上で実施します。 特発性膀胱炎においても食事療法などで治療にあたることも多いですが、飼育環境におけるストレス因子の排除や改善も大事なポイントになります。 また、上記の原因が混在して発症していることも多く、難治性もしくは再発を繰り返す症例の場合には尿検査及び全身検査も実施した上で原因追及をする必要があります。作成中 腎臓の構造、機能的な異常が持続的に続く状態を慢性腎臓病と呼びます。慢性腎臓病に至る経緯は様々であり、兆候や進行の程度も多様になります。一般的に慢性腎臓病の進行に伴い尿の量や飲水量の増加が顕著になり、その程度に合わせその他の症状も付随します。診断のために血液検査、超音波検査、尿検査などを中心に行い判断します。腎臓は再生能力に劣る内臓のため治療内容としては、腎臓の負担を軽減させ、腎機能の維持を諮る内容となり食事療法、点滴、薬剤、サプリメントなどから治療プランを検討します。
TOPへ