腫瘍科
リンパ腫
血液中のリンパ球と呼ばれる細胞が腫瘍化することで発症する病態です。
犬、猫ともに多く存在し、皮膚、内臓、リンパ節、脳・神経など様々な部位に発生する可能性があります。リンパ腫の中でも種類は豊富に存在し、動物種、発生部位、などによってある程度の傾向は確認されていますが、その詳細を把握するには基本的には病理・細胞診断が必須になります。
犬においては全身のリンパ節が腫大する多中心型リンパ腫が多く存在しますが、胃や腸管に発生する消化器型のリンパ腫の発生もよく見受けられます。
猫では近年では消化器型のリンパ腫が多く確認されており、そのほかに腎臓型や中枢神経型など診断・鑑別が容易でないものも存在します。
各種検査を踏まえ、リンパ腫が確定した場合にはその個体の状態を判断した上で条件が整えば化学療法(抗がん剤)が適応できる腫瘍でもあります。
抗がん剤にも多くの種類が存在し、使用されていますが一般的なリンパ腫で使用される機会の多いプロトコールは多剤併用のもので数種類の抗がん剤を時期を集中させて使用する方法です。その他にも多様な抗がん剤の使い方がありますが、基本的には、患者のリンパ腫の種類に合わせた薬剤の種類、患者自身の状態を考慮した上で使用していきます。しかし、同じリンパ腫であっても抗がん剤の反応が芳しくないタイプも存在し、一部の消化器型や腎臓型、中枢神経型のリンパ腫は治療反応性がよくないことが多いとされています。
一方、抗がん剤で比較的長期に維持できるようなリンパ腫も存在し、その場合には抗がん剤を服用しながら定期的に検査を行い経過観察を行うことが一般的です。